スマホの画面を見つめながら、人差し指がピタッと止まる。
「無料オンラインカウンセリングを予約する」
画面の中央にある、大きくて目立つオレンジ色のボタン。
ここを押せば、日程を選んで、自分の名前とメールアドレスを入れるだけで予約が完了する。
わかっている。お金はかからないし、話を聞くだけなら無料だ。
だけど――。
「絶対に、最後に高いコースをごり押しされるに決まってる」
「『今契約すれば入会金無料です!』とか言われて、断り切れなくなったらどうしよう」
「口下手な自分が、営業のプロに言いくるめられるのが目に見えている」
そう思うと、胸の奥がきゅっと縮こまって、どうしてもボタンが押せない。
ルート営業で毎日ペコペコ頭を下げている自分が、画面の向こうのキラキラしたキャリアアドバイザーと対等に話せる気がしないのだ。
はっきり言おう。
その警戒心は、100%正しい。
スクールのアドバイザーも仕事だ。ボランティアではない。契約を取れば彼らの営業成績になるのだから、いい顔をして背中を押してくるのは当たり前だ。
だからこそ、あなたは「丸腰」で行ってはいけない。
相手をビビらせる必要はないが、「こいつは甘い営業トークが通じない、ちゃんと現実を見ている大人の男だ」と一瞬で悟らせる【3つの意地悪な質問】を懐に忍ばせておくのだ。
質問①:「途中で挫折した人の割合と、その人たちが挫折した理由は何ですか?」
無料相談が始まると、相手は「未経験から3ヶ月で月5万稼げるようになったAさん」や「半年でWeb制作会社へ転職したBさん」といった、輝かしい成功事例ばかりを嬉々として見せてくる。
そこで、笑顔を崩さずにこう切り込むのだ。
「受講生の素晴らしい実績はよく分かりました。ところで、途中で学習を諦めてしまった人や、フェードアウトしてしまった人の割合はどれくらいですか? その人たちは、具体的にどんな壁にぶつかって挫折したんでしょうか?」
この質問を投げかけた瞬間、相手の「営業マンとしての化けの皮」が剥がれる。
- ダメなスクール:
「うちはサポートが手厚いので、ほとんどいませんよ!」「本人のやる気次第ですね」と誤魔化すスクール。即座にブラウザを閉じろ。生徒のリアルな脱落データを分析していない証拠だ。 - 信用できるスクール:
「正直に申し上げますと、約〇割の方は途中で手が止まります。一番多い原因は、〇週目のJavaScriptの文法で詰まることと、本業の残業が重なって質問の習慣が途切れてしまうことです」と、都合の悪い真実を数字と具体例で答えてくれるスクール。ここなら信頼していい。
質問②:「残業月30時間・休日は家族サービスですが、私の生活リズムのどこに学習時間を組み込むべきですか?」
相手が「1日2時間の学習でOKです!」と言ってきたら、すかさずこう返すのだ。
「私は平日はルート営業で残業が月30時間あり、帰宅は20時を過ぎます。子どもが4歳なので、平日の夜と休日の昼間は家族の時間に充てたいと思っています。この生活リズムの中で、受講をやり切った卒業生は、具体的に何時何分に勉強していたんでしょうか?」
相手に「あなたの生活に合わせた学習計画」をその場で具体的にプレゼンさせるのだ。
「朝6時に起きて40分、通勤電車でスマホ学習を30分、夜に子どもが寝た後の40分で質問を投げる……というスケジュールで完走された方がいらっしゃいます」
このように、あなたの現実(家族と仕事)を否定せず、隙間時間の具体的な使い方を提示できる担当者なら、受講中も伴走してくれる。
逆に「本気なら家族との時間も削るべきです!」などと偉そうに説教してくる担当者がいたら、「あ、そうですか。自分には合いませんね」と一言言って切断すればいい。
質問③:「給付金の手続きで、貴社が用意してくれる書類と、私が用意する書類のスケジュールを教えてください」
教育訓練給付金(最大70%還元)を検討しているなら、この質問は必須だ。
「専門実践教育訓練給付金を利用したいのですが、貴社から発行される受講証明書類はいつ届きますか? ハローワークへの提出期限から逆算して、いつまでに無料カウンセリングを終え、いつまでに契約するのが一番安全なスケジュールでしょうか?」
給付金の手続きは行政手続きだ。書類の不備や日程のズレは絶対に許されない。
ここで、事務手続きのスケジュールをスラスラとカレンダー通りに説明できるスクールは、運営体制がしっかりしている。
「あ、それはハローワークに聞いてみてください」と丸投げしてくるスクールは、サポートが杜撰な可能性が高い。
カウンセリングの画面を閉じる権利は、常にあなたにある
思い出してほしい。
あなたは、物を売りつけられに行くのではない。
「自分の貴重な時間と、家族のための軍資金を託すに値するスクールかどうか」を、上から品定めしに行くのだ。
ZOOMの画面が繋がったら、無理に愛想笑いをする必要はない。
営業車の運転席で取引先と商談する時のように、落ち着いた声で、用意した3つの質問を淡々と投げかければいい。
もし相手が不誠実なら、
「よく分かりました。一度持ち帰って検討します」
と言って、マウスをクリックして退室すれば、それで終わりだ。相手はあなたの職場も、あなたの家の場所も知らない。
コンビニの車内で、スマホを見つめて迷っているあなたへ。
主導権は、最初からあなたが握っている。
防護服を着込んで、堂々と品定めに行ってくればいい。


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